第26回 環流文明研究会は、予定通り、4月21日(土)午後1時から実践女子大学日野キャンパスで行われました。出席者は、(敬称略)星野、末武、神出、犬塚、池田、杉本、染谷(7名)でした。他の学会との重複などでやむなく欠席となったメンバーが何人かいました。 発表は、星野さんの「自然・精神・科学の統合」と末武さんの「文明の興亡をシミュレーションする-イースター島とスワヒリ文明-」でした。星野さんの結論は、フッサール、ハイゼンベルク、ホワイトヘッド、中沢新一、野家啓一氏らの所説を踏まえ、現代思想が宗教・芸術・科学が三位一体としてそれぞれの分野が相互につながり合う方向性を示していることを示しました。知・智・心・信の環流といえるかもしれません。分析を好む西洋思想もついにその限界を知り、新たな段階に入りつつあり、それが新たな文明を導くという力強いメッセージでした。 末武さんの発表は、太平洋の孤島イースター島で起こった文明の崩壊をシミュレーションの手法で説明しました。なぜ崩壊したのかについてはまだ未知のところが多いのですが、過剰を余儀なくされた社会に原因がありそうです。それは崩壊する可能性をますます強めている現代世界のモデルと考えることができるのではないかというコメントが出されました。スワヒリ文明圏は遠く日本も含めた東洋の物品とアフリカの地下資源や人的資源(奴隷)をめぐるインド人、ペルシャ人、アラブ人とバントゥー人らの交流で形成されたが、「大航海時代」にポルトガル人とオランダ人、イギリス人、ドイツ人らの西欧人の進出そして現代では中国人の進出で大きな変化を余儀なくされているという報告がなされました。ヨーロッパ人によるたび重なる収奪とそれに起因する部族紛争のためにアフリカ人の自立は難しいのではないかという結論が非常に印象的でした。収奪文明の現代における一つの結果としてもっと注目されるべきでしょう。 |