home‎ > ‎話題提供‎ > ‎

野蛮から文明へという誤謬

2014/01/26 18:42 に 染谷臣道 が投稿
昨日(2014.1.26)の東京新聞で北大の山口二郎教授が「歴史に学べるか?」というコラムを書いていました。その最後で彼は「野蛮の道を続けるか、文明の道に転進するのか」と問いかけています。このコラムの趣旨である「歴史に学べ」という彼の主張に異論を差し挟む人はいないはずです。問題は「野蛮から文明へ」という19世紀の語り口をまだ語り続けていることです。このような文明観はまだまだ一般的でしょうから(文明を研究する)私たちはそうした語り方に異議を唱える必要があります。なぜならそうした語り方では「文明」は「良き文化」と同一になってしまうからです。「文明の利器」ともてはやされた原発が同時に「文明の凶器」でもあることが明らかになった現在、もはや文明を「良き文化」とだけ見るのは時代遅れです。繰り返された大戦争を含め文明こそが実は「野蛮」を生んだのです。文明以前(それが人類史のほとんどですが)を野蛮と片付けるのは文明の驕りだったことをよく認識する必要があります。文明もまた野蛮なのです。むしろ野蛮のほうが野蛮ではなかったと思います。そうでなければ大した技術もない時代、とても生き延びることができなかったと思うからです。  2014年1月27日・染谷記)
Comments